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渡辺史敏American Report

アメリカ開催でも観客動員数最多記録 成功要因は?

 無傷の6連勝で2次ラウンドを乗り切り、アメリカ・ロサンゼルスで開催されるWBC決勝ラウンドに進んだ侍ジャパン。大会はいよいよ佳境に入ったが、6日から13日まで4カ国で開催された1次ラウンドの観客動員数が同ラウンドとしては過去最多を記録したことが明らかになった。現地14日に大会を主催するMLBが公式ウェブサイトで発表したもの。

 今回1次ラウンドの総観客数は62万1851人でこれは4年前に記録した46万3017人を34%も上回っている。1次ラウンドは韓国、日本、アメリカ、メキシコの4つのプールに分かれて開催されたが、プール別で最も多かったのはやはり東京ドームで開催されたプールBだった。組別としては史上最多の20万6534人を記録している。

 侍ジャパンの平均観客数は4万2123人だった。中でも7日に行われ11対6で勝利したキューバ戦は4万4908人を記録し、これは1次ラウンドとして史上最多であるばかりでなく、大会史上全体でも3番目となっている。

 毎回盛り上がりに欠けると言われてきたアメリカで開催されたプールCだが、今回はアメリカ開催の1次ラウンドとしては最多の16万3878人を記録した。特に11日行われたアメリカ代表対ドミニカ代表の一戦はチケットが完売し、スタンドは3万7446人ものファンで埋め尽くされたほど。

 今回のこのアメリカでの成功の要因は会場がフロリダ州マイアミのマーリンズ・パークだったことが大きいようだ。マイアミは中南米諸国への窓口となっている大都市であり、ヒスパニック系移民が多数居住しているのである。そうした人々が祖国や近隣諸国の代表チームを自分たちの代表として応援したというわけである。

 一方、韓国・ソウルで開催されたプールAとメキシコ・ハリスコで開催されたプールDはどちらも自国代表が1勝しかできず2次ラウンドに進出できなかった。この点は大会運営においても足を引っ張ってしまったようである。

 アメリカ・サンディエゴで行われている2次ラウンド、プールFは自国、アメリカ代表を含み19日まで行われる。どこが勝ち上がってくるかまだわからないが、20日からの決勝ラウンドで侍ジャパンが最高に盛り上がったスタジアムで熱い戦いを繰り広げることに期待したい。

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試合中にドローン事故、条例施行前でも罰金の可能性

 また新たな事故が起こった。現地21日、サンディエゴのペトコ・パークで行われたダイヤモンドバックス対パドレス戦の7回表に無人機ドローンがスタジアム上空に現れたかと思うとスタンド上段のファンをかすめながら飛行し、そのまま座席に衝突、大破してしまったのである。

 幸い怪我人はなかった。これに対し、MLBのスポークスパーソンは翌日「我々の警備部門は昨日の事故に気づき、地元自治体と連絡をとった。状況を注視している。ドローンは全てのボールパークで禁止されたアイテムだ」との声明を出している。

 さらにパドレスのエリック・グループナーCOOも「ペトコ・パークのゲストの安全はパドレスの最優先事項だ。日曜のドローン事故は我々のゲストの安全を確保するためすぐパドレスの警備とサンディエゴ警察に伝えられた。この事故はペトコ・パークのような巨大な公共施設での無許可のドローン使用がもたらす危険性を浮かび上がらせている。パドレスは声を大にしてサンディエゴ警察が大きな公共施設付近でのドローン使用についてのアメリカ連邦航空局(FAA)による規制をサンディエゴ警察に可能にするサンディゴ市が最近制定した条例を支持する。我々はこの条例が完全に施行されることを確実にするため自治体と共に働き続けることを楽しみにしている」という声明を出した。

 パドレスの声明にあるように実はサンディエゴ市はFAAによるスタジアムや公園などの近くでドローンを飛ばすことを禁じる条例を4月に可決したばかりだったのである。その矢先に事故が起こってしまったのだ。ただこの新しい条例の施行は6月からで今回の事故では適用されないということである。

 では実際、ドローンに何が起こったのだろうか。地元テレビ局FOX5によれば、サンディエゴ警察の警官がドローンがスタジアム内に入るのを見た後、スタジアムの駐車場でドローンの操縦者を発見したのだとか。20歳代の男性とだけ発表されているこの操縦者に警官はドローンをスタジアム外に出すよう支持したところ、コントロールを失っており、操縦できないと答えたという。そしてその数秒後ドローンの衝突となった。

 その時に操縦者について警官は「彼は恐怖を感じていた。誰も傷つける意図はなかった」と話している。

 FAAは事故を調査しており、操縦者に1437ドルの罰金を科す可能性があるということだ。

 日本でも度々話題となってきたドローンの事故。今回は規制直前、注目度の高いMLBの場ということもあって今後への良い警句になればいいのだが。

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ダルビッシュ、ヤ軍トレードの噂に大谷翔平も関係?

レンジャーズ対フィリーズ 7回表フィリーズ2死一、三塁、ピンチの場面でスタッシを空振りの三振に仕留め、雄たけびを上げるレンジャーズ・ダルビッシュ(撮影・菅敏)

 現地16日のフィリーズ戦で7回4安打1失点9三振の快投を見せ、今季4勝目を挙げたレンジャーズのダルビッシュ有投手。これで日本人投手6人目となるメジャー通算50勝、109試合での到達は日本人最速だ。

 そんなダルビッシュの活躍とともに最近アメリカのメディアが盛んに報じているのが、トレード、それもヤンキースが獲得に動くのではというものだ。さらにそれに伴って日本ハムの大谷翔平投手の名前も出てくるのだから面白い。

 まずダルビッシュだが、自身は好調なものの、レンジャーズは17日時点で20勝20敗の五分、首位アストロズから8・5ゲーム離されてア・リーグ西地区3位となっている。そのため早々とシーズンをあきらめ、7月のトレード期限には今シーズン限りで契約が切れるダルビッシュをトレードに出し、チーム戦力の刷新にとりかかるのでは、というのである。地上波FOXの電子版やニュージャージーのニュースサイトnj.comなど複数のメディアがこの考えを伝えている。

 そしてそのトレード相手として有力視とされているのがヤンキースだ。ヤンキースは現在23勝13敗でア・リーグ東地区首位を走る。ただ2位オリオールズは0・5ゲーム差に迫っているうえ、特にCCサバシア投手など先発陣はここまで出来すぎで、いずれ調子を落とすだろうと懸念する声が多いのだ。そのためシーズン中の投手の補強が必要であり、ならばエースの実力を持つダルビッシュを取るべきだ、という論法である。

 報道の数々を見ていると、このトレード交渉が進展する確率は高いようにも感じられる。ただこうしたトレードは水ものであり、どうなるかはわからない。

 さらにこうしたダルビッシュのトレード報道で散見されるのが大谷の名前なのだ。なぜ大谷が絡むのか。それはレンジャーズのジョン・ダニエルズGMらが今月11日千葉・鎌ケ谷でリハビリ中の大谷を視察したことが関係している。今回の視察によってレンジャーズが今オフに大谷獲得の考えを持っていると捉えたということだ。

 ただテキサスのメディアがそのままに伝えているのに対し、nj.comはヤンキースがダルビッシュを獲得すればその関係性から大谷はヤンキースと契約することを望むのでは、と報じておりそれぞれ地元びいき的な考えになっているところが興味深いのだが。

 ダルビッシュ、さらには大谷の行方は各メディアの願いどおりになるだろうか。

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マット・ハービー、職場放棄した本当の理由は?

 メッツのマット・ハービー投手が現地6日に行われたマーリンズ戦で、チームに連絡なく球場に姿を現さなかった。これに対しチームはハービーに規律違反として同日から3日間の無給・謹慎処分を下した。

 球場に来なかった原因だが、複数のメディアは当初、ハービーがその日ゴルフをプレーした後、頭痛を覚えたためと報じていた。

 この件についてハービーは9日になって記者会見を開き、「まずチームメートとコーチ全員に対し私の行動について謝罪しました。私は自分の行動について謝罪します。まったく自分の行動が恥ずかしい。そうです。私は金曜の夜に門限を超えて外出しました。土曜の朝にゴルフをしました。試合の準備のためには悪い場所にいたと思う。それは自分の責任だ。それに対して全責任をとります」「ミスを犯した。謝罪します。より良くあるように、再び起こらないことを確かにするためにできる限りのことをし続けます」と全面的に謝罪している。

 今回の無給処分により、ハービーは今年の年俸512万5000ドルのうち8万4016ドルを失った模様だ。

 ただ原因はゴルフではなく、恋人のスーパーモデル、アドリア・リマとの恋愛トラブルではないかと報じたのが9日付の地元紙ニューヨークポスト電子版である。

 リマは1日夜にニューヨーク市内で開催されたパーティーにプロアメリカンフットボールNFLニューイングランド・ペイトリオッツのワイドレシーバー、ジュリアン・エデルマンと共に出席し、仲むつまじい様子をパパラッチに撮影されていた。実はエデルマンはハービーの前にリマと交際していた過去がある。

 記事によれば、このパパラッチによる報道を見たハービーが自暴自棄になり5日夜から6日午前4時まで、リマとエデルマンが撮影されたのと同じニューヨークのバーで馬鹿騒ぎをしたとしている。それが原因で体調を崩し、すっぽかしに至ったのだというのだ。

 謝罪会見の門限を破って外出したことを認めた部分は、この件につながっているのである。現在28歳のハービーとしては、たしかに恥ずかしい事件となってしまったようだ。

 一方で同記事はリマとハービーの関係は「真剣なものではなかった」という匿名の関係者のコメントも掲載している。

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波紋広がるアダム・ジョーンズへの人種差別行為

 現地1日、オリオールズのアダム・ジョーンズ外野手がフェンウェイパークでのレッドソックス戦で観客から差別行為を受ける事件があり、波紋が広がっている。

 ジョーンズはアフリカ系アメリカ人で、これまで5回オールスターに選出され、今年のWBCにもアメリカ代表として出場した中核選手。USAトゥデー電子版によれば、試合中黒人に対する差別用語を何度も浴びせられ、試合後にはピーナッツの袋を投げつけられたと語ったいうことだ。袋を投げた観客は退場させられている。

 これに対しレッドソックスは日付が変わった2日「フェンウェイパークで昨夜起こった出来事について、アダム・ジョーンズとオリオールズの球団全体に謝罪します。どの選手もグラウンドで物を投げ付けられてはならないし、どんな形の差別も受けてはならない。レッドソックスはそのような弁解の余地のない行為を絶対に容認しません」との声明を出した。ボストン市長も同様の謝罪声明を発表している。

 さらにロブ・マンフレッドMLBコミッショナーもやはり声明を出し、「昨晩フェンウェイパークでアダム・ジョーンズに向けられた人種差別用語と行動はまったく受け入れらず、我々のどの球場であっても容認できない。自分のオフィスにレッドソックスから連絡があり、クラブがこの許しがたいふるまいを容認しないことを明確にした」としている。

 この件に対し、ジョーンズだけのことではないと語ったのがヤンキースのC・C・サバシア投手だ。地元紙ニューズデーのエリック・ボーランド記者はツイッターに「サバシアがアダム・ジョーンズが受けたのと同じ事をボストンで経験した。ヤンキースに所属する前からでセキュリティの問題だと語った」と投稿している。さらに同記者は「黒人メジャーリーガーの間で話したことがある。我々62人(のアフリカ系大リーガー)はみんな知っている。ボストンに行く時は、それ(差別)が待っていると」、「ビッグリーグのキャリアのなかで黒人差別用語で呼ばれたことはボストン以外ではない」と話したとも伝えている。

 この騒動のさなか、2日には同じフェンウェイパークで再びオリオールズ対レッドソックス戦が行われたが、1回表にジョーンズが打席に立つと詰めかけた観客がスタンディングオベーションで迎え、レッドソックスの先発クリス・セール投手が拍手が収まるまでマウンドを外すという配慮を見せる一幕もあった。

 ただこれで事態は一気に収束とはいかず、ジョーンズの代理人は「実行された規定によって全ての都市で選手が守られ、この種の向こうみずな振る舞いを止めさせたと判断できるまで我々はこの件に対しての厳しい姿勢を緩めるつもりはない」という声明を出し、追求していくことを明らかにしている。

 一方、レッドソックスがこの件を起こした観客を生涯出入禁止にすることを検討しているとも報じられている。

 まだまだ波紋は広がっていくかもしれない。

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ジーター氏、スタインブレナー氏のようなオーナーに

 前回紹介した元ヤンキースのデレク・ジーター氏とジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事のグループによるマーリンズ買収の動きが急進を見せた。地元紙マイアミ・ヘラルド電子版が25日付でマリーンズがチーム売却に合意したと報じたのだ。

 ただ記事によればまだ最終的な契約に向けた作業が残っているうえ、他のオーナーらの75%以上の同意などMLBによる承認も必要で、最終決定までには数カ月を要するだろうということだ。実際にチームの譲渡が決まれば2012年のマジック・ジョンソン氏らのグループによるドジャース以来となる。

 気になる買収額だが、当初16億ドルと報道されていたが、13億ドルにまで下がった模様だ。これは経済誌フォーブスがマーリンズの資産価値を9億4000万ドルと評価したことが影響したと見られる。それでも2012年のドジャース買収額20億ドルに次ぐ額だ。

 今後のチームの運営体制だが、記事によればブッシュ氏が「フランチャイズの決断を最終的にコントロールする」役割を担うとし、実質的に筆頭オーナーに就く模様だ。対してジーター氏も「アクティブな役割」を果たすとしており、積極的にチーム経営に関わっていく姿勢を見せているということである。

 ジーター氏は2014年の現役引退前のインタビューで、チームを所有することが「次の究極の目標」と語っていた。そして所属していたヤンキースの元オーナー、故ジョージ・スタインブレナー氏のようなオーナーになりたいと話している。「どのように組織を運営するか(スタインブレナー氏)から多くを学んだ。あのようになりたい。自分の意見は、たしかに少し偏っているかもしれないけど、彼は全てのスポーツにおいて最高のオーナーだったと思う」とその心中を明かしていた。

 ジーター氏はまだ42歳。今回の買収劇でこれまで以上の注目を集めることになったが、買収が承認され、チーム経営の場に立てば、さらに経験を積んでその存在感を増すに違いない。そうすることで彼の望む次の目標に一歩ずつ近づくことだろう。そのとき現役時代ザ・キャプテンの愛称で親しまれたジーター氏がどんな風に呼ばれるか今から楽しみである。

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元ヤンキースのジーター氏、マーリンズ買収か

 元ヤンキースのデレク・ジーター氏が前フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏と共同でマーリンズを買収に乗り出した模様だ。19日、地元紙マイアミ・ヘラルドの電子版やAP通信が伝えたもの。ブッシュ氏はジョージ・W・ブッシュ第41代大統領の弟で、トランプ現大統領と共和党の候補者指名争いを戦ったことことでも知られる。

 ジーター氏は20年間ヤンキース一筋にプレーし、攻走守の揃った名遊撃手として活躍し、ザ・キャプテンというニックネームで親しまれた。2014年のシーズンを最後に現役を引退している。背番号2は昨年永久欠番となることが発表されており、5月にはヤンキースタジアムで記念式典が行われる予定だ。

 一方、現在のマーリンズ・オーナー、ジェフリー・ロリア氏は元々エキスポズの共同オーナーだったが、2002年にマーリンズを買収している。買収額は1億6000万ドル程度の模様だ。オーナー就任の翌年、2003年にマーリンズはワールドシリーズを制覇している。しかしその後は有力選手を放出したうえ、選手年俸総額を低く抑えるチーム経営を行ってきたため、成績低迷が続いてきた。当然のごとく人気も下がり、2012年に新スタジアム、マーリンズパークがオープンした直後はいくぶん持ち直したものの、現在は再び低下傾向にある。以前紹介した経済誌フォーブスによるチーム資産価値ランキングでは25位の9億4000万ドルと評価されている状況だ。

 こうしたこともあってマーリンズが売却されるのではないかという報道が昨年末ごろから盛んにされるようになったのである。2月にはトランプ大統領の娘婿、クシュナー大統領上級顧問の一族による買収に向けた動きが報じられたりもした。さらに最近ではジーター氏、ブッシュ氏はそれぞれ別の投資グループのメンバーとして計3つのグループが買収に向けてロリア氏などと交渉に入っていると伝えられていたのである。

 それが今回、ジーター氏とブッシュ氏が共同体制を組んだということで、買収実現の可能性がさらに高まったと考えられているのだ。買収額はロリア氏の買収額やフォーブスの資産価値を大きく超える16億ドルになるのではとも報じられている。ただチーム社長などは売却について話し合いがもたれていることは認めているものの、ジーター氏側からもブッシュ氏側からもこの件についてのコメントは出ていない。

 イチロー外野手と田沢純一投手が所属するチームであるだけに、すんなりと決着してくれるといいのだが。

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年々高まるMLB資産価値 放映権料上昇も一因

 現地11日、経済誌フォーブスが恒例のMLBチーム資産価値ランキングを発表した。それによると最も資産価値が高いと評価されたのはヤンキースで37億ドルだった。ヤンキースはこれで20年連続同ランキング首位となった。

 2位はドジャースで27億5000万ドル、3位レッドソックス27億ドル、4位はワールドシリーズ王者カブスの26億7500万ドル、5位ジャイアンツ26億5000万ドル、6位メッツ20億ドルと続く。20億ドル以上と判定されたチームが6つあるのである。

 対して最も資産価値が低いとされたのはレイズで8億2500万ドル、次がアスレチックスで8億8000万ドル、レッズが9億1500万ドルだった。

 平均は15億3700万ドルとなっている。これはプロアメリカンフットボールNFLの23億8800万ドルに次ぐもので、世界のトップ・サッカー・チーム20の平均14億6800万ドルを上回っている。

 この平均資産価値は昨年に比べ19%も伸びている。ヤンキースは9%の伸びにとどまったが、最下位のレイズは27%も伸びているのだ。こうした伸びの要因として同誌はまず各チームによる地元地域のケーブルテレビ局との放送契約が続々と更新されていることを挙げている。ネットやレコーダーでの録画視聴が普及するなか、MLBを始めスポーツは生放送で見られる優良コンテンツとしてその価値が上昇を続けており、ローカルなケーブルテレビ局でもこれまで以上の放映権料での契約が続いているのだ。

 さらに2000年に全チームが出資して設立され、現在はディズニーやプロアイスホッケーNHLも一部出資するインターネット関連会社MLBアドバンストメディアも各チームの伸びの要因となっているようである。同社はMLBゲームのネット配信やウェブサイトの運営を行うほか、他スポーツにまで事業範囲を拡大するほど成長を続けている。同誌によれば同社の成長が各チームの資産価値に4~5億ドルも寄与しているということだ。

 一方、前回紹介した各チームの選手年俸総額との関連も興味深い。資産価値1位のヤンキースは年俸総額が2億154万ドルで2位、資産価値2位のドジャースは年俸総額2億4200万ドルで1位であり、なんとなく納得できる。しかし年俸総額が2億ドルで3位のタイガースの資産価値は平均以下の12億ドルにすぎないのだ。

 こうしたランキングを見ると各チームの経営状況について考えさせられるのである。

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高騰し続ける選手年俸 チーム格差是正で魅力向上へ

 いよいよ開幕した2017年MLBレギュラーシーズン。全国紙USAトゥデーは開幕に合わせ全チーム登録選手の年俸を公開している。

 それによると今シーズン最も年俸が高いのはドジャースのクレイトン・カーショー投手で3300万ドル。サイヤング賞を3回受賞しているカーショーは2014年に7年総額2億1500万ドルの契約を結んでおり、その4年目にあたる。2年連続で最高年俸選手となった。MLBの最高年俸は2001年にアレックス・ロドリゲス元内野手がレンジャーズと10年総額2億5200万ドルの契約を結んでから高騰した経緯がある。2000年の最高年俸選手はドジャースのケビン・ブラウン元投手の1570万ドルだったから、カーショーはブラウンの2倍以上だ。

 さらに今シーズン年俸が3000万ドル以上なのはカーショーの他にダイヤモンドバックスのザック・グレンキとレッドソックスのデイビッド・プライスの2人で、いずれも先発投手となっている。2000万ドル以上は35人いるということだ。

 平均年俸は400万ドルで、これも2000年の190万ドルから約2倍以上となり、年俸のレベル全体が底上げされてきたことがわかる。

 一方、依然チームごとの年俸総額の差は激しいままだ。トップはドジャースの2億4200万ドル、2位がヤンキースの2億154万ドル、3位がタイガースの2億ドルとなっている。2億ドルを超えているのはこの3チームだ。

 対して最も少ないのはブルワーズで6359万ドル。ドジャースの1/3以下なのである。1億ドルに届いていないチームがホワイトソックスやレッズなど7チームあった。

 ドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムの開幕戦でパドレスと対戦し、カーショーが先発して14対3で初勝利を収めた。この試合で登録されていたパドレスの25名の選手の総年俸額はMLB最低の2962万ドルで、なんとカーショー1人の年俸よりも低かったのである。

 年俸が上がっていくことはメジャー入りを目指す選手やファンに夢を抱かせるという点においてもいいことだろう。ただこのチーム格差の是正を図っていくこともリーグの魅力向上という意味で切実だと改めて感じさせられた数字だった。

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トランプ大統領 開幕戦“伝統”始球式を参加拒否

 ドナルド・トランプ大統領がナショナルズのシーズン開幕戦での始球式を拒否した。現地28日にチーム広報担当者が発表し、AP通信などが伝えている。

 ナショナルズは4月3日に本拠地ナショナルズ・パークで行われるマーリンズとの開幕戦で始球式参加をホワイトハウスに打診していたものの、スケジュール調整がつかないことを理由に参加できないと拒否されたのだという。

 広報担当者は発表で「ホワイトハウスからスケジュール上の都合により、参加できなくなったとの連絡が来た。ご存じのように、大統領を開幕戦に招待することは、ワシントンのベースボールにおいて100年以上の歴史がある。1910年にセネターズが(ワシントンに)戻ったときに始まり、ナショナルズがワシントンにベースボールを取り戻したときにその伝統を引き継いできた」と参加拒否を残念がったということだ。またその際、誰が始球式を行うかはその時点では決まっていないことも明かしている。

 一方、政治紙ポリティコは28日の午前時点では始球式参加についてトランプ大統領側とまだ交渉中だったうえ、大統領が地元ラジオ局に1イニング出演する可能性もあったと伝えた。この件についてナショナルズはコメントしていない。

 トランプ大統領はこれまで何度か始球式を行っている。直近では2006年にはフェンウェイパークでのレッドソックス対ヤンキースで投じた。ただ2012年にナショナルズがスティーブン・ストラスバーグ投手を手術明けを理由にシーズン終盤登板させない措置をとったことをツイッターで批判したこともある。今回の開幕投手はストラスバーグが務める予定で、どのような反応が出るかでも注目されていたのだ。

 大統領として初めて開幕戦で始球式を行ったのは1910年の第27代ウィリアム・タフト大統領。その後ワシントンを本拠としていたセネターズが1972年に移転するまで11人中10人が就任1年目に始球式を行った。唯一行わなかったのは45年のハリー・トルーマン大統領で、これは前任のフランクリン・ルーズベルト大統領の死により、開幕戦の8日前に就任したばかりだったため。トルーマン大統領はその後7年連続で始球式をおこなっている。

 2005年にワシントンにMLBチームが戻るとジョージ・ブッシュ大統領が伝統を再開。バラク・オバマ大統領は最初のタフト大統領から100年の記念となることを目的に敢えて1年目は行わず、2年目の2010年に行った。この時ナショナルズのジャケットを着ていたものの、ファンであるホワイトソックスの帽子をかぶっていたことが話題になっている。

 全体としてはワシントンにチームがある時期に在任したこれまでの大統領は13人全員が計47回、開幕戦で始球式を行ってきた。

 これほどの伝統を覆したトランプ大統領への風当たりはさらに高まりそうだ。

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ティーボウのマイナー行きで広がるマーケティング

 WBCがクライマックスを迎えるなか、MLB各チームのスプリング・トレーニングも終盤に入っている。中にはメジャーで開幕を迎えることを許されず、マイナー行きを宣告される選手も出ている状況だ。メッツとマイナー契約を結んでいるティム・ティーボウ外野手もその一人だ。

 これまでも紹介してきたがティーボウはプロ・アメリカンフットボールNFLでクオーターバック(QB)として活躍した経歴を持つ。フロリダ大学時代にチームを2回全米チャンピオンに導いたうえ、最優秀選手に贈られるハイズマン賞を受賞し、一躍人気選手となった。2010年にドラフト1巡指名でデンバー・ブロンコス入りしている。翌年には先発QBとしてプレーオフにも進出し、さらに人気を高めた。が、その後は低迷し、15年以降契約するチームはなく、大学フットボールのテレビ解説者を務めていたが、昨年8月にMLB挑戦を宣言し、メッツとマイナー契約を結んだ。教育リーグ、秋季リーグを経てスプリング・トレーニングに参加となっていたのである。

 だがオープン戦での打撃は17打数4安打、打率2割3分5厘という成績しか残せず、現地20日メッツのテリー・コリンズ監督はティーボウをシングルAのコロンビア・ファイアフライズに送ることを発表することとなった。ティーボウは4月第1週にキャンプを終えてファイアフライズに合流、サウスアトランティック・リーグで4月6日の開幕を迎えることとなる。

 今も注目度、人気が高いティーボウがシングルAでプレーすることに、即座に周囲がビジネス面に活用しようとしている。まずファイアフライズはフットボール時代にティーボウがつけていた背番号15を与えることを発表した。

 また同リーグに所属するレキシントン・レジェンズは本拠地で行われるファイアフライズ戦10試合のチケットをまとめた「テン・ティーボウ・チケット・パッケージ」の販売を開始している。さらにアグレッシブな行動に出たのがレッドソックス傘下で同リーグに所属するグリーンビル・ドライブ。ツイッターで6月13日から行われるファイアフライズとの3連戦でティーボウが3三振したら無料でハンバーガーを進呈すると宣言したのである。

 ティーボウ人気をだしにするようなマーケティングに批判がないわけではない。しかしマイナーリーグのチームはそれほどなりふり構わぬビジネスの姿勢が要求されるということでもあるのだ。なによりティーボウはそれほど注目をされ続けている選手なのである。

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イスラエル快進撃の陰にウェインライトの粋な計らい

 日本、韓国で先行して開幕したWBC。韓国で行われているプールAではイスラエル代表が2連勝し注目されている。そのイスラエル代表を支える若手投手に、カージナルスのスプリング・トレーニングでアダム・ウェインライト投手が行った気遣いが話題だ。セントルイスの地元紙、セントルイス・ポストディスパッチの電子版が3日付で報じたもので、26歳のライアン・シェリフ投手のためにレンタカーを自費で借り上げ、自由に使わせているというのだ。

 ウェインライトは制球力に優れ、球種が多彩で2005年以来カージナルスの中心投手として活躍してきた。過去2回20勝を記録、左アキレス腱断裂から本格復帰した昨年も13勝を挙げている。現在5年総額9750万ドルの4年目で、今年の年俸は1950万ドルの見込みだ。

 一方のシェリフは2011年にドラフト28巡目でカージナルスと契約。現在26歳で将来を有望視されているが、これまでメジャーに昇格したことはなく、昨年はトリプルAのメンフィス・レッドバーズで7勝1敗という成績だった。こうしたこともあり、年俸は低いようでスプリング・トレーニングではレンタカーを借りることができず、宿舎から練習場まで毎日10~15分歩いて通っていたのだという。

 これを見たウェインライトはシェリフがオートバイか車を利用できるよう援助することを決めたのだ。記事によればチームがシェリフに運転免許証を提出するよう求めたとき、状況がわからず困惑したのだとか。そしてウェインライトがシェリフの名前で車を借り、代金を支払ってくれることを告げられた時についてシェリフは「ちょっと叫んで、それから泣いてしまった。母親に電話したら、母も泣き始めた。本当にこんな経験をしたことはない。誰からもこんないいことをされたことはない」と語っている。

 ウェインライトは今回の行動について、自分が若手だったときにしてもらったことを行っただけだと語っている。彼が毎日同じシャツを着ているのを見たベテラン選手が何枚もシャツをくれたことがあるのだという。

 こうした行動や報道は1万1000ドル程度ともいわれるマイナーリーガーの年俸改善につながるかもしれない。

 一方、シェリフだがウェインライトの援助のおかげか好調のようで、WBCイスラエル代表では中継ぎで起用され、2戦連続でホールドを記録している。

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ピービー投手が球団と契約しない2つの個人的問題

 速球派のベテラン、ジェイク・ピービー投手は現在どのチームとも契約しておらず、フリーエージェントの状態にあるが、その背景には個人的な問題があるようだ。スポーツ専門局ESPNの電子版が2月23日付で伝えている。

 ピービーは2002年にパドレスでメジャー・デビューし、速球とスライダーを武器に三振の山を築いてきた。05年と07年にはナ・リーグの奪三振王に輝き、これまでに2207奪三振を記録している。また07年の19勝を最高に10勝以上を8回記録、通算では152勝126敗となっている。ただジャイアンツに所属していた昨シーズンは自己最低の5勝に終わっていた。

 この不調と現在契約していないことは年齢が大きな要因ではなく、2つの個人的問題のためだと記事は指摘しているのである。

 1つめの問題とは英語でポンジー・スキームと呼ばれる、いわゆるネズミ講にピービーが引っかかってしまったことだ。昨年2月にある金融投資家が“保守的な投資”と募集したチケット・ビジネスにピービーは多額の資金をつぎ込んだものの、これがネズミ講として摘発されたのである。

 記事によれば昨シーズンを通して、ピービーは弁護士やFBIの捜査官と何度も面談することを強いられたということだ。これについてピービーは精神的な負担が大きく「自分の世界全体をめちゃくちゃにされた。初めて自分の意識、時間、エネルギーを150%ベースボールに向けることが難しかった。本当に大変な年だった。自分が作り上げ、プレーしてきた全てがなんらかの形で混乱に陥ったのだから」と語っている。

 ピービーはこの事件で数百万ドルを失ったということだ。

 さらにピービーの試練はそれだけではなかったのである。ジャイアンツとの契約が終わり、自宅に戻ったピービーを待っていたのは夫人からの離婚の要求だった。

 現在も息子たちの親権など法的手続きが続けられている状況なのだとか。ピービーは「離婚することを避けているわけではありません。なにかを誇ったり、望んだり、要求したりはしていない。ただそれは起こり、それに対処している。しかし自分には人生で責任がある息子が4人いる。心の底から自分と自分の家族の利益において最後までそこにいるべきだと思う」と述べている。

 現在35歳となっているピービーだが、まだメジャーで通用すると評価する人は多い。この大きな2つの試練を乗り越え、マウンドに戻ってくる日がくることを信じたい。

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コミッショナー、ルール変更拒否の選手会を批判

 MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが現地21日、アリゾナ州フェニックスで記者会見を行った。数多くのトピックについて見解が述べられたが、アメリカのメディアにとって最も大きかったのは、報じられていたルール変更の提案について選手会が合意しなかったことのようだ。

 同日付のニューヨーク・タイムズ電子版は「MLBコミッショナー、ロブ・マンフレッドが変更に対する組合の抵抗を批判」という記事を掲載している。「聞く耳を持たず自分たちのゲームが変わり、そして変わり続けていることを無視することは間違いだと思う」と語り、選手会のトニー・クラーク専務が日曜に大きな変更を行うよりもベースボールのニュアンスでファンを教育したほうが良いと発言したことを非難したということだ。

 さらに「我々の熱心なファンとカジュアルなファンの両方がゲームで起こっている変化を管理し、対応することを望んでいると確信している」とルール変更への意欲を示している。

 先に報じられていたようにMLB側はストライクゾーンを膝頭の下部から上部に引き上げたり、マウンドにコーチが行く回数を制限するルール変更を導入することでより打撃が活発になったり、試合時間が短縮される改革を提案していた。しかしこれらは今回選手会側がこれを拒絶したことになる。

 その一方でスポーツ専門局ESPNの電子版は、敬遠の意図を示せばボールを投げることなく打者を一塁に送ることができるルール変更に関しては選手会が合意したと伝えた。ただこの件に関しては敬遠は2・6ゲームに1回しかなく、試合時間の短縮には十分ではないという意見も多い。

 今回の会見について日本的に大きなトピックだったのが、一部にWBCがビジネス的に難しいため今年で最後になるのでは、という一部報道についてだった。これについてコミッショナーは「極めて重要な大会。自分の任期中は続けたい」と存続の意向を示したということである。

 またこれまでスポーツへのギャンブルが可能なため、メジャー・プロリーグが避けてきたものの成長が続いているため近年注目されているラスベガスについて「ラスベガスは我々にとって成長市場になり得る」と発言し、問題視していないことを明らかにした。

 全体的にMLBのさらなる成長に向けた姿勢を前面に出した会見だったといえるだろう。

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ヤンキース・ジラルディ監督の来季契約はPO次第

 いよいよ始まったMLBのスプリング・トレーニング。ヤンキースでは早々に田中将大投手が3年連続で開幕投手を務めることが発表された。昨年チームトップの14勝を挙げ、防御率もリーグ3位だった田中がこの大きな役割を担うことに地元メディアなども「驚きはない」と報じている。

 対して、ヤンキースにとっての一抹の不安として挙げられたのが首脳陣の契約についてだ。ジョー・ジラルディ監督は2013年シーズン後に4年1600万ドルの契約を結んだが、今シーズン後にこの契約が切れるのである。先が見通せない中でシーズンを指揮することがレームダック化、死に体化するのでは、というのだ。

 しかしこの件に関して本人、さらにハル・スタインブレナー・オーナーは問題ないと語ったと、相次いで報道されている。まず踏まえなければならないのはヤンキースは伝統的に、監督やGMについて契約が終了するか終了する寸前にならないと更新をしないという方針をとってきたことだ。実際ジラルディ監督も2013年シーズンは更新をしない状態で指揮をとっている。

 そのため15日付のニューヨーク・ポスト電子版はジラルディ監督が「本当に影響はない。同じやり方で自分の仕事をするつもりだ。自分の信じている方法が正しいやり方だ。交渉しようとは思っていない。覚えている限り、シーズン中に監督と更新していない。だから自分の仕事をし、何が起ころうと見続けるつもりだ。やるだけだ」と語ったとした。

 さらに2012年以降プレーオフに進出できていないことに対しても「異なったことをしようとは思わない。たぶんそういうわけで(契約の状況について)考えていない」とブレがないことを強調したということだ。

 対してやはり15日付のデイリー・ニューズ電子版は、スタイブレナー・オーナーが記者団に対し「我々はジョーが好きだ。ジョーは契約をしてこの組織で働く多くの人々の一人だ。そして自分は彼ら全てを同じに扱う。契約が終了に近づくか終了するまでは交渉はしない」と明言したと伝えている。

 双方納得のうえ、ということでひとまず不安はぬぐわれた状況ではあるが、ヤンキースがプレーオフに進出できなければ厳しいことになるのは明白といえそうだ。それだけにこのスプリング・トレーニングは重要である。

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時間短縮へ2つのルール変更も実施できるかは微妙

 現地6日、スポーツ専門局ESPNの電子版はMLBが2つのルール変更を正式に通告したと、複数の関係者の証言として報じた。

 そのルール変更だが、1つめはストライクゾ-ンに関するものだ。1996年以降ストライクゾーンの下限は「膝頭の下部」と規定されているが、これを「膝頭の上部」とするというもの。下限が約2インチ(約5センチ)高くなり、それだけストライクゾーンが狭くなる。打者にとって有利な変更といえそうだが、なぜこのような変更を行おうとしているかというと、ボールに対するアクションや走者の数を増やし、ベースボールの魅力を高めるためだという。記事によれば全打者の3割近くが、四球か三振という結果だとか。打者の打つ気をアップさせようというのである。

 2つめの変更案は敬遠四球について。これまでは敬遠する場合でも実際にボール球を4回投げていたのはご存じのとおりだ。それが今回の提案では敬遠の意思表示を審判にすれば、一球も投げることなく、打者はダイレクトに一塁に送られるようになるというものである。

 記事によればこれはロブ・マンフレッドMLBコミッショナーが提唱している試合時間短縮戦略に沿ったものだという。ESPNは1回の敬遠で約1分短縮することができるとした。ただ昨シーズン敬遠は932回あり、2・6試合に1回の割合だった。

 たしかに様々な手段を使って近年長すぎるという指摘が多数されてきた試合時間の短縮を図ることは重要だが、これだとそうそう大きな効果が得られるようには残念ながら見えない。むしろ、日本で何度かあった敬遠のボールを打つことや投手が暴投をしてしまうという可能性もあるわけでスポーツの面白さとしてどうかと思う点もある。

 これらの改革案についてすぐに実行できるわけではない。選手会の合意が必要である。ただこれはそう簡単ではなさそうだ。記事でも指摘されていたが、約2週間後にはスプリング・トレーニングのオープン戦が始まるというタイミングである。敬遠はいいとしてもストライクゾーンの変更に対しては、選手はもちろん審判の周知徹底が必要になる。またもし選手会の同意が得られれば、WBCは新ルール下での開催となるかもしれない。

 果たしてMLBの思惑通り、新シーズンからこれらのルール変更が実施できるか微妙ではある。それでも改革を行おうというのがMLBらしくはあるが。

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不正アクセス事件のカージナルス処分でMLBに波紋

 現地1月30日、MLBは不正アクセス事件を起こしたカージナルスに対し、被害を受けたアストロズに今年のドラフト指名権56位と75位の譲渡と200万ドルの賠償金を支払うよう命ずる処分を下した。この処分に対し、MLB全体に影響が広がっているようだ。

 事件はカージナルスの育成部門の責任者だったクリス・コレア元スカウト部長が犯したもの。2013年と2014年に不正にアストロズのデータベースにアクセスし、トレードやスカウトに関した機密情報を得ていたもの。ハッキング事件として大きな騒ぎとなり、コレア元部長に対して連邦裁判所は昨年7月、禁錮3年10月と賠償金28万ドルの判決を下している。

 さらに今回MLBがカージナルスの責任に対して処分を重ねた形だ。この処分が今後同様に各チームの機密情報に不正アクセスするような動きへの抑止力となるかが注目されているのである。

 スポーツ専門局ESPNの電子版は31日付の記事で、匿名のナ・リーグ重役による「『なんだ、指名順は高くない、たった200万ドルだ、さあやろう。処分は重くないから』などと言う者はいないと思う。彼は今刑務所に入っている。一生ベースボールで働くことができない。これはカージナルス全体にとって恥辱となった。1巡指名権を失うべきだとか罰金に関して論ずることはできるが。処分はこうしたことが再び起きないようにするのに十分だと思う」というコメントを掲載している。

 カージナルスは30日、CEOとGMの連盟で今回の犯罪はコレア元部長が単独で起こしたものだとし、このようなことが再び起こらないよう徹底するとの声明を出した。

 ESPNだけでなく、他メディアにおいても今回の処分に関しては、犯罪として裁判所が裁いたうえでのものであり、大きな抑止力になるだろうと評価するところが目立つ。

 マネーボール全盛の時代となり、各チームが持つ機密情報はこれまでになく膨大で、その機密性も高くなっている。それだけに不正アクセスによってライバル・チームを出し抜こうという不届き者が二度と出てこなければいいのだが。

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ドミニカ悲痛 ベンチュラ、マルテ両選手が事故死

 22日、ロイヤルズのヨルダノ・ベンチュラ投手が故郷ドミニカ共和国で交通事故に遭い、25歳の若さで死亡した。

 ベンチュラは最速100マイル(約161km)の速球を持ち前とし、昨シーズンは11勝を挙げ、3年連続2桁勝利を記録していた。通算成績は94試合の登板で、38勝31敗、防御率3・89。

 その速球から大型投手と思われがちだが、背は高いとはいえず、線の細さが目立つ投手だった。スポーツ専門局ESPNのウェブ版は身長が6フィート(約183cm)と登録されていたが実際にはそんなにはなかっただろうと指摘している。それ故、全力投球が印象的であり、またチームメイトに愛される存在だったとした。

 またベンチュラとは別にインディアンスなどでプレーしたアンディ・マルテ内野手も、やはりドミニカ共和国で運転中の事故によって同日に死去している。

 MLB公式サイトによれば、「メジャーでのマルテの最後の出場は、2014年8月6日のベンチュラのロイヤルズ戦だった」ということだ。

 2人の死によってドミニカは沈痛な雰囲気に包まれているようだ。ロイヤルズのデイトン・ムーアGMはベンチュラの死に対し、「若くて才能に恵まれ、いつも笑顔だった。今は彼の死を悼みたい」との声明を出している。

 と同時に選手がドミニカに帰国したり、訪問したりした時の安全への疑問の声も上がっている。やはりESPNはMLBの複数のチームがオフシーズンにドミニカに行くことに対して懸念を持っていると伝えている。また別の記事では、ドミニカで自動車を運転することは安全管理上どうなのか、という指摘もされていた。

 MLBでは昨年9月に16勝を挙げていたマーリンズのホセ・フェルナンデス投手がボートに乗船中に岩に衝突し、帰らぬ人となる事故も起こっている。それだけに今回3人の選手が立て続けに亡くなったことに対するショックは大きい。オフフィールドやオフシーズンにおける安全上の行動管理について契約の制限を厳しくする、といった論議が今後高まるかもしれない。

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カブスが異例の1月ホワイトハウス表敬訪問

 昨年、108年ぶりにワールドシリーズを制したカブスの選手や首脳陣、スタッフが現地16日にホワイトハウスのオバマ米大統領を表敬訪問した。

 対面は終始にこやかに行われ、オバマ大統領は「歴史を通して思い出される価値がある。スポーツはたとえ国が分断されていても我々を一つにする力を持っている。スポーツは振る舞いや文化を微妙に変えたが、最終的に我々に我々自身と我々が誰なのか考えさせた。スポーツは政治やビジネスがしない方法で心を変える力がある」とスポーツの持つ力を強調する一方で、「おめでとう。これが大統領として最後の公式行事になるが、この8年間で最も光栄なことかもしれない」とチームに賛辞を贈った。

 またシカゴの南部に育ったミシェル夫人が子供のころからカブス・ファンであることなども披露し、自身が熱心なホワイトソックスのファンで有名なことから「ホワイトソックス・ファンの中で私が一番のカブス・ファンであることは知っておいてもらいたい」とジョークを飛ばしたということである。

 これに対し、カブスはシカゴ出身のオバマ大統領に第44代大統領にちなんだ背番号44のユニフォームと生涯有効の観戦チケットを送るとともに、セオ・エプスタイン球団社長は「これまでの過ちは許して、カブスの一員として歓迎します」と返した。

 訪問後、エプスタイン社長は「(夫妻を)待っている間チーム全体が集まったことは素晴らしい瞬間でした。それから大統領とファーストレディーは大きなエネルギーを伴って部屋に入ってきて、心に響く発言をしてくれました。この訪問は皆に大きなものをもらえました」と感想を述べている。

 ワールドシリーズ優勝チームが1月にホワイトハウスを表敬訪問するのは異例のことだ。シーズン中でもスプリングトレーニング中でもなかったことから優勝後FA移籍したアロルディス・チャップマン投手やデクスター・ファウラー外野手も今回の訪問に参加できている。それだけにエプスタイン社長などには心に響くものがあったのかもしれない。

 一方でオバマ大統領が現地20日に退任するため、このタイミングしかないという考えが両者にあったとも考えられる。シカゴ出身というだけでなく、MLB選手の多くが先の大統領選でトランプ次期大統領不支持を表明していたことが背景にあったためだ。

 アメリカでは優勝したスポーツチームや有力選手がホワイトハウスを表敬訪問することが恒例になっている。が、トランプ大統領が就任すると訪問の数が減るのではともささやかれているのだ。

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四国IL高知入団のマニー・ラミレスに日米から期待

フロリダ州で直接交渉に臨んだラミレス(中央)は、北古味オーナー(右から3人目)ら高知関係者からチーム事情などを聴く(撮影・四竈衛)

 マニー・ラミレス外野手が日本の独立リーグ、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスとアメリカ・フロリダ州で現地8日に入団することで契約を結んだ。

 現在44歳のラミレスの経歴を改めて紹介すると、1993年にインディアンズでメジャーデビューを果たし、以降強打者として活躍した。2000年11月にレッドソックスと10年1億1900万ドルの大型契約で移籍、その後ドジャース、ホワイトソックス、と渡り歩いたが、メジャーでのプレーは11年が最後となっている。この19シーズンに歴代15位となる本塁打555本、通算打率は3割1分2厘という好記録を残した。その一方で09年と11年には禁止薬物使用で出場停止処分を受けている。

 11年を最後にメジャーからは離れているが現役続行の意思は見せ続けてきた。12年にはアスレチックスとマイナー契約を結び、翌13年には台湾プロ野球リーグの義大ライノズで一時プレーし、その後レンジャーズとマイナー契約でプレーしている。14年にはカブスのトリプルAの選手兼コーチとして契約。15年はフロント契約となり、打撃コンサルタントに就任したが、現役引退を表明することはなかったのである。

 そして今回のファイティングドッグスとの契約だ。実質2年間プレーから離れていたことと年齢を考えると正直不安は大きい。しかし自由奔放な振る舞いで知られたラミレスにはスターとしての輝きが残っているように感じられるのだ。

 この点はアメリカのメディアも同じようで、44歳での日本独立リーグへの挑戦にもかかわらず、ロサンゼルスタイムズやCBSスポーツ、経済紙ウォールストリートジャーナルなど数多くのメディアが今回の件を記事にして報じている。ロサンゼルスタイムズ電子版は「(ラミレスを揶揄して掲げられたボードの)マニーウッドは永久に引退だろうが、マニー・ラミレスはそうじゃない」と伝え、CBSスポーツ電子版は「今年からラミレスは米野球殿堂入りの資格を得たが、野球人生を終えたわけではない」といずれもラミレスの挑戦を好意的に伝えているのが印象的だ。

 関心を寄せられたのには、記事にあるようにメジャーから離れて5年が経ち、今回ラミレスは初めて殿堂入りの資格を得たというタイミングもあるかもしれない。ただ殿堂入りに75%が必要となる投票で25%しか得られなかったのだが。

 日米から注目されているラミレスがどんなプレーを見せるか、そして彼が日本の独立リーグや選手たちにどんな影響を与えてくれるか期待したい。

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注目されるボンズ、クレメンス両氏の殿堂入り

 年が明けてアメリカのメディアを中心にMLB関連で話題となっているのが、18日に発表される野球殿堂入りについてだ。殿堂入りは全米野球記者協会に10年以上在籍した記者による投票で75%以上の得票が必要となっている。スポーツマンシップや品格も投票基準の一つとなっており、そのため実績はあっても不祥事などでイメージの悪い元選手は殿堂入りができない例も多い。賭博に関与したとされる元レッズのピート・ローズ氏がその代表だろう。

 そんななか薬物使用疑惑のある元選手について殿堂入りの可能性が出てきていると伝えたのが、2日付のニューヨークタイムズ電子版だ。「殿堂投票者がステロイド時代のスターに対する態度を軟化」という記事を掲載したのである。

 記事では歴代最多の通算762本塁打を放ったバリー・ボンズ氏、通算354勝のロジャー・クレメンス氏という歴史に残る活躍をしながらも薬物使用疑惑が原因で殿堂入りしていない両氏の可能性が高まっているのではと指摘している。

 90年代後半までは薬物規制が厳格でなく、筋肉増強剤の使用が蔓延していたこともあって、特に90年代はステロイド時代とまで言われ厳しい目が注がれてきた。しかし記者の若年化もあって意識に変化が見られるというのだ。

 またまさにステロイド時代にリーダーだったバド・セリグ前コミッショナーの殿堂入りが決まったことも挙げ、選手だけが厳しい扱いを受けるのはどうか、という意見も紹介している。

 実際、昨年の両氏への投票は一昨年から約8ポイント増の45%前後になったという経緯もある。一挙に殿堂入りは難しいかもしれないが近い将来75%に到達する日が来るかもしれない。

 その一方で、政治的な言動が問題視され殿堂入りできないだろうと自ら語ったのが、フィリーズなどで活躍し216勝、3116奪三振挙げたカート・シリング氏である。ゴシップサイトTMZのインタビューで、投票者を「自分が知る最悪の人間」と呼び、”性格条項”によって投票しないだろうと語ったというのだ。

 さらに「彼らは自分がソーシャルメディアで話したことを理由に投票しなかったということを隠してもいない。それが投票者の特権だ」とまで話している。

 シリング氏はツイッターやフェイスブックで人種・宗教差別や性的マイノリティを攻撃するような発言を繰り返し、昨年解説者を務めていたスポーツ専門局ESPNから解雇されている。さらに大統領選挙期間中にドナルド・トランプ時期大統領を支持し、ヒラリー・クリントン元候補を攻撃するような言動をとっていた。

 特にこのトランプ支持が問題視されていると感じているようで、「トランプ氏をリンチする」発言をしていたら90%の得票を得ただろうとも発言したとのことだ。

 薬物使用疑惑や政治的言動などさまざまな要素が投票に影響することはある意味しかたないようにも感じられる。と同時にその基準は時代によって変化するの事実だろう。それが議論されることはいいことかもしれない。まずは今年の投票結果がどうなるかに注目しよう。

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MLBが18年ロンドンでゲーム開催検討と米紙報道

 ニューヨークの地元紙ニューヨークポストの電子版は23日付でMLBが早ければ2018年にもイギリス・ロンドンでいくつかのゲームを行うことを検討しており、最初の参加チームがヤンキースとレッドソックスになるかもしれない、と関係者の話として報じた。

 永遠のライバルともいえるヤンキースとレッドソックスが対戦するカードであれば、たしかにベースボールの人気がまだ高いとはいえないロンドンでも人気を呼びそうではある。ただちゃんとした理由があると同記事は指摘している。両チームともサッカーのイギリス・プレミアリーグのチームとつながりがあるというのだ。たしかにレッドソックスのジョン・ヘンリー・オーナーはリバプールのオーナーでもある。さらにヤンキースはマンチェスターシティと共にアメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)ニューヨークシティFCの共同オーナーとなっている。つまりこうした関係をイギリスでの人気拡大策に利用できるだろうという思惑があるというのだ。

 この件についてヤンキースのランディ・レビン社長は同紙に対し「ヤンキースは偉大なベースボールのゲームをロンドンに持ち込むための最前線にいてきた。実行のためのいくつかの意味ある試みが存在している。そこで直ちにプレーできることを期待し、信じている。ロンドンでレッドソックスと対戦することは特別で他にはないイベントとなるだろう」という実現に前向きな声明を出している。

 と同時にサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムはベースボール向きではないとしてオリンピック・スタジアムで開催されることになるのでは、としている。

 MLBの海外での公式戦開催は1996年に開始されたが、今年5月のプエルトリコでの開催がジカ熱への懸念から中止されたこともあって2014年のオーストラリア開催が最後となっている。

 ちなみに今回の開催見込みが2017年ではなく、2018年となっているのは2017年はWBCが開催されるため、開幕時期の海外遠征は日程的に難しいという認識があるためのようだ。

 ではなぜ急に海外開催への前向きな姿勢が示されるようになったのか。それは今月結ばれた新労使協定がやはり背景にある。実は新協定で海外開催の項目が設けられ、向こう5年間人気拡大のため、アジアやメキシコ、プエルトリコ、ドミニカ共和国、ロンドンでのゲーム開催が合意されているのだ。さらにこうしたイベントに参加する選手に対して1万5000から10万ドルの補償金が支払われることも明記された。

 こうした明文化によって海外進出がしやすくなっているのである。さて期待通り再来年、ヤンキースとレッドソックスをロンドンで見ることはできるだろうか。

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有力大リーガーのWBC参加巡り、一進一退の攻防

 ここのところ契約などの話題と合わせて発表が続いているのが有力選手の来年3月に開催されるWBCへの可否だ。日本野球機構(NPB)は20日、侍ジャパンのメンバー18人を先行発表という形で明らかにしたが、その中には現在MLBに所属している選手の名はなく、残り10人について「MLB所属選手を含めて選考中」としている。暫定ロースターにはアストロズの青木宣親外野手ら9人が登録されていたが、これは出場が確定したものではなかった。

 その後21日に、青木の参加決定がNPBから発表されている。日本人大リーガーの出場は2009年大会以来2大会ぶりとなり、朗報だといえよう。

 ただその他の日本人大リーガーについては厳しい状況が続いている。カブスと契約した上原浩治投手は21日に日本のテレビ番組で「すいません。断りました。球団の方には出場したい意志は伝えましたが、球団からなるべく出ないで欲しいと言われました」と出場しないことを自ら語っている。また、マリナーズの岩隈久志投手も「今はうまく言えないというか、その時がきたらそういう話もできればと思いますけど、分からないです」と言葉を濁したということだ。

 さらにテキサスの地元紙フォートワーステレグラム紙は14日付けでレンジャーズがダルビッシュ有投手と韓国籍の秋信守外野手、ベネゼエラ籍のエルビス・アンドレス遊撃手のWBC参加を認めない意向であることを伝えている。ただ一方で韓国系新聞コリアタイムズのアメリカ版は21日、秋信守がレンジャーズに対し、参加を認めるよう求める意向だとも報じた。

 またタイガースのビクター・マルチネス捕手がベネズエラ代表に加わることが発表されている。

 まさに各国で有力大リーガーの参加を巡り一進一退の攻防が繰り広げられているといった状況だ。これまでもお伝えしてきたようにアメリカではWBCはあくまでシーズン開幕前のイベントという意識があり、それは各チームも同じだ。レンジャーズの意向などは主力選手がWBCで負傷し、肝心のシーズンに影響を及ぼすリスクへの懸念が強く出たものだといえよう。対して特にアメリカ以外の国出身の選手はやはり母国代表への意識が強いようである。3月の大会に向けてしばらくはこの攻防が続きそうである。そしてこうしたやりとりが今後も続くことを願いたい。

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いじめか伝統か 新労使協定の女装禁止に異論も

 前回も紹介したMLBとMLB選手会の間で合意されていた新労使協定。現地13日に批准されたが、その一部内容を12日にAP通信など複数のメディアが報じ、アメリカのみならず日本でも話題となっている。それは新たに盛り込まれた「いじめ禁止」条項についてで、それがMLBの伝統行事ともいえる新人仮装の際の女装にも及ぶというのだ。

 具体的には「選手に女装を強要すること、または人種、性別、国籍、年齢、性的指向、その他の特徴を攻撃するような衣装を強制的に着せることを禁止」という文言があるとされている。

 さらにスポーツ情報サイト、デッドスピンは条項本文を独自入手したとして「選手はそのクラブ・メンバーを卑しめたり、辱めたり、精神的、身体的危害を引き起こすことを意図した精神的、身体的振る舞いの流れに関与するべきでない」「この方針の目的は新人、選手に関してすべての伝統を禁止するというわけではない」「しかし選手に対して身体的な苦悶や危害を与えたり、選手やクラブのスタッフ、ファンに対して攻撃的だったり、クラブやMLBの運営を妨害するような振る舞いを禁止するものだ」と記されているとする記事を掲載した。

 この件についてポール・ミスファド副会長は「実際には起こったわけではないが、誰かが顔を黒く塗って仮装し、『いやいや、ただ仮装しただけだ』と言うことだってある」と、黒人蔑視を例に挙げ、この条項が盛り込まれた意図について説明したということだ。さらに「これについて何人かの選手が不満を述べたことも理解している」と、仮装について選手からも不満が出ていたことを明かしている。

 この新規定について報道が出ると、元選手を中心にSNSでさまざまな意見が投稿される事態となった。元レッドソックスのケビン・ユーキリス氏は「ウソだろ?(セクシーな衣装で有名なレストラン)フーターズの格好でトロントに遠征したよ。それは(MLBの)一員になったという誇りだった」とツイート。元ジャイアンツのオーブリー・ハフ氏も「バカなルールだ。神経質になり過ぎている。仮装はMLBの誇り高い伝統なのに、世の中はあまりに敏感になり過ぎている」と投稿している。どちらかというとこの女装禁止は行き過ぎと捉える人が多いようだ。

 ちなみに全ての仮装が禁止されたわけではなく、スーパーヒーローの仮装などは大丈夫なままということである。

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新たな労使協定が大谷のMLB挑戦に影響も

 アメリカ現地2日、MLBとMLB選手会は先月30日に基本合意した新たな労使協定を発表した。これまでの労使協定は1日に失効することになっていたため、それまでに合意できなければ選手をチーム施設から閉め出すロックアウトや21年ぶりのストライキの可能性もあった。しかし前回のストライキで双方がイメージと金銭面で深く傷ついたこともあって早期の歩み寄りとなったようだ。

 それ故か2021年まで適用となる新労使協定は大幅な改定はなく、マイルドな変更に留まっているように見える。その中でも重要と思われるものをいくつか紹介すると、チーム総年俸が規定額を超えた球団に課される課徴金いわゆる贅沢税については規定額が段階的に引き上げられることとなった。規定額は17年が1億9500万ドルで、2021年は2億1000万ドルとなる。これを超えたチームにかけられる贅沢税の税率は1回目が20%、2度目が30%、3度目が50%で、さらに2000万ドル以上超過した場合は付加税も適用されるということだ。

 また高額契約でFAの選手を獲得したチームが選手を放出したチームにドラフト1巡目の指名権を差し出す必要がなくなった。ただし贅沢税が適用された場合は下位指名権を失う。短期の故障者リストの日数も15日から10日に短縮されることが決まった。

 さらにこんなことも?と思われるかもしれないのが、ワールドシリーズのホームフィールド・アドバンテージ決定方法だ。これまではオールスター・ゲームで勝利したリーグに与えられていたが、レギュラー・シーズンの勝率が高いチームが獲得することとなった。以前の方法はオールスター・ゲームの本気度を上げる目的があったが、それよりもワールドシリーズに特化といったところだろうか。

 そんななか、日米で波紋を生むことになっている規定変更もある。海外FA選手と自由に契約できる条件がこれまでの23歳から25歳に引き上げられたのだ。25歳未満の選手を獲得する場合、ボーナスプールと呼ばれる契約金上限が500万ドルから600万ドルとなる。

 もし日本ハムの大谷翔平投手が、報道されているように来シーズン後MLBに挑戦となるとこの規定に引っかかり大型契約が結べなくなる可能性が出ているのだ。当初日米間に結ばれた選手協定があるため、適用外になるのでは、という報道もあったが、5日から開催されているウインターミーティングでは逆に適用されるという声もあり、判然としない状況である。

 大谷が25歳となる19年まで待つことになるのか今後の展開が待たれるところだ。

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WBCが終了? 日本では人気絶大、アメリカでは…

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が来年3月開催の第4回大会を最後に終了するかもしれないと、アメリカのメディアが報じたことが日本でも話題となっている。これはスポーツ専門局ESPNのクリスチャン・モレノ記者がツイッターに投稿したことを発端としたもの。

 モレノ記者はまず現地11月29日に「複数の関係者が十分な収益が得られなければ2017年のWBCが最終版になる可能性があると話した」とツイートした。同記者はさらに「関係者は参加国は増えたがWBC参加選手への保険支払い保証は減っており、アメリカのファンのサポートは期待を下回っていると語る」、「WBCの広告とマーケティングはイベント構造の構築と期間、トップ参加国の低いパフォーマンスで失敗した」と終了に至るかもしれない要因をツイートで解説している。

 たしかにWBCは侍ジャパンの真剣勝負の場として日本では絶大な人気を誇る。ファンからの人気だけでなく、MLB入りを目指す選手が実力披露できる場という点でも貴重な機会となっているのだ。

 が、肝心のアメリカでの人気は第1回から低迷が続いているのも紛れもない事実である。アメリカのメディア、ファンにとってWBCはあくまでシーズン開幕前のお祭り的イベントという風に捉えられ続けているのだ。それ故メディアはWBCはその時期にシーズン終盤となるバスケットボールなどより格下のように扱い、相対的に露出量が少なくなる。露出が少ないのでファンの関心も上がらず、街のスポーツショップでは各国の代表ユニフォームが売れ残っている光景を目にするのも毎回恒例のことだ。それでいてモレノ記者が指摘するようにMLBはWBC参加選手の大会中の負傷に備えて保険金を負担しなければならないのである。負のスパイラルに陥っているといえよう。

 モレノ記者の投稿を受けCBSスポーツ電子版は「これは悲しい予測だ」としたうえで「大リーグはこの大会にこれ以上お金をかけるつもりはないようだ」と評している。

 またヤフースポーツは「より大きな懸念は人々の関心だ。WBCは国際的な人々にはアピールしているかもしれないが、MLBのファンは同じような興味を持っていない。楽しいアイデアではあるが真剣勝負の場という位置づけではない。五輪競技でなくなってからアメリカ代表に対する愛国心への期待もなくなっている。ただスプリング・トレーニング前のベースボールにすぎない」と手厳しく解説していた。

 日本での人気を考えるとぜひ存続して欲しいWBCではあるが、このような意見が複数出ることを考えると、厳しい状況であることも認めなければならない。大きな刷新策が出てくれば良いのだが。

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レンジャーズ傘下でいじめか 性的な嫌がらせ受ける

 いじめが深刻な問題となっている日本。一方、MLBでもレンジャーズ傘下の若手選手の間でいじめがあったのではないかと取りざたされている。スポーツサイト、ヤフー・スポーツのコラムニスト、ジェフ・パッサン記者が22日付で伝えたもの。匿名の関係者からドミニカ共和国の警察から8人の若手選手が性的な嫌がらせを受けるビデオについて嫌疑がかけられているというのだ。

 問題のビデオは10月の終わりにビデオ系SNS、スナップチャットに投稿されたもの。10秒ほどの長さで、レンジャーズのシャツとショーツを着た犠牲者が腕を背中でつかまれ、足を縛られた状態で下半身を露出され、タオルで性的な行為をされている様子が映されていたということである。犠牲者以外に少なくとも4人の姿が映っており、彼ら全員が笑っていたという。場所はドミニカにあるレンジャーズの施設だと見られている。

 記事によればドミニカ警察は少なくとも4人の選手が起訴する見込みだということだ。その中にはレンジャーズのルーグネッド・オドーア二塁手の同名の弟と将来の正捕手として期待されているヨーヘル・ポツォが含まれているとしている。両選手とも19歳だ。

 この件はいじめに参加しなかった選手の告発によって発覚したが、いじめはこの一件だけではなくベネズエラとコロンビア出身の選手が複数回行っていたのではないかと警察は見ているとのことである。18歳以下の選手も参加していた可能性も指摘されている。

 レンジャーズはこの件について「テキサス・レンジャーズは我々のアカデミーでの事件に気づくとすぐ調査を開始しました。我々は事件をMLBとドミニカ共和国の当局に報告し、全力で協力しています。現在調査が進められているため、これ以上のコメントをしません」という声明をヤフー・スポーツに寄せた。

 またこの件についてMLBは嫌疑を受けている4人の選手を活動停止にしている。またニュースサイト、ビジネス・インサイダーに対し「この件が発覚するとすぐレンジャーズは通知しました。現在MLBのポリシーに沿ってマイナーリーグの選手による家庭内暴力、性的暴行と児童虐待について調査しています。レンジャーズとMLBは当局に対して適正に協力しています」との声明を出したということだ。

 ただ単なるいじめだけでなく、国際的な事情も関連しているかもしれない今回のこの嫌疑が適正に処置され、選手育成の環境が回復されることを望みたい。

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イチローを称える「ルー・ゲーリッグ・スポーツ賞」

 オフシーズンに入ったMLBだが、連日今シーズンに活躍した選手、人物に贈られる賞の発表が続いている。現地17日には最優秀投手賞であるサイヤング賞がア・リーグが22勝を挙げたレッドソックスのリック・ポーセロとナ・リーグが20勝のマックス・シャーザーに決まった。

 そんななかで日本人にとってやはり嬉しいのがマーリンズ・イチロー外野手のルー・ゲーリッグ・スポーツ賞受賞ではないだろうか。ゲーリッグは1923年にヤンキースでデビューした名選手。タフな選手として知られ、「アイアン・ホース」(鉄の馬)というニックネームのもと、当時のMLB記録である2130ゲーム連続出場記録を作った。しかし後に「ルー・ゲーリッグ病」とも呼ばれる筋萎縮性側索硬化症(ALS)により連続出場が途切れただけでなく、39年に引退を余儀なくされ、さらには41年に37歳の若さでこの世を去るという悲劇に見舞われている。

 そんなゲーリッグは人格者としても知られており、同病に対する基金への寄付を募るとともに、球場内外での優れた精神や人柄の良さを称える賞としてALS協会が主催している「ルー・ゲーリッグ・スポーツ賞」である。

 メジャー通算3000安打と日米合算でピート・ローズの4256安打を越えただけでなく、フィールド内外での真摯な姿勢で広く知られるイチローはまさに同賞を受賞するのにぴったりな人物だったといえるだろう。

 イチローは現地3日、ニューヨークのホテルで行われた同賞の夕食会で表彰を受けた。その際英語でスピーチを行い「皆さんは僕のスピーチに期待しているかもしれません。しかし、英語でのスピーチは僕のゲームじゃありません。ホームランみたいに」と述べ、会場の笑いを誘った。こんなスピーチもイチローらしいところだろう。

 また、最優秀監督賞はレッドソックスのテリー・フランコナ監督と共に、ドジャースのデイブ・ロバーツ監督が受賞している。ロバーツ監督は沖縄出身の日系人というだけでなく、就任1年目の今シーズン、やはりMLB1年目の前田健太投手を擁し、91勝71敗でナ・リーグ西地区4連覇を達成した。その手腕を堪能した方も多いのではないだろうか。

 一方で16勝を挙げた前田は新人王に期待がかかったが、ナ・リーグはチームメートのコーリー・シーガー遊撃手に決まっている。シーガーは26本塁打、打率3割8厘、72打点を記録し、安定した守備も見せたことが高く評価され、投票で満票となる30の1位票を獲得した。ちょっと残念な気がしつつも納得である。

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FA市場に話題振りまく今オフ対象外の二刀流大谷

 カブスの108年ぶりの優勝で幕を閉じた2016年シーズン。シーズンの終了は同時に、移籍、特にフリーエージェント(FA)市場が活性化することを意味している。

 当のカブスでも球速の最速記録を持ち、7月にトレードで入団後カブス優勝の大きな要因となったアロルディス・チャップマン投手が昨年ヤンキースと交わした1年1133万ドルの契約が終了して、FAとなった。

 チャップマンは今オフのリリーフ投手FA市場で最高の投手と目されており、メディアやファンからその動きに高い関心が寄せられている。ヤンキースやドジャースが興味を持っているとか、全国紙USAトゥデーがジャイアンツが面談を行ったと伝えるなどしている状況だ。

 そんななかニューヨークの地元紙ニューヨーク・ポストの電子版が9日付でFAの対象選手ではないのに「この”ベーブ・ルース”投手/打者は3億ドル獲得するかもしれない」と大々的に報じたのが日本ハムの大谷翔平投手である。

 二刀流で大活躍し、日本ハム優勝の原動力となった大谷について記事はまず、「彼は若く、タレントにあふれる先発投手だ。既に世界で最高の投手として認知されている。さらに彼は超一流の打者というベネフィットまである」と大絶賛から入っているのだ。

 その上でメジャーには次のオフシーズンまで来ることはないだろうが、彼の活躍は2億ドルを超える最初の日本人選手になるだろうとしている。そして何度も大谷を見ているスカウトの「実際、彼は3億ドルを得るだろうと思っている。それほど彼のタレントは特別だ。先発1番手の力がある。8回に99マイル(約159キロ)を投げている」、「そして彼は打者としても成長している。アメリカの打撃コーチはもっと打席に立つよう教えるだろうと思う。45本塁打者になれるだろう」と投手、打者の両面での能力の高さを褒めるコメントを掲載していた。

 アメリカで投手と打者の両方で活躍した選手というとやはりベーブ・ルースを思い浮かべるようで、同記事は別のスカウトの話として「ベーブ・ルースの名前を使うのは嫌だが、でも我々の思い浮かぶエースでクリーンアップを打つことができた最後の選手ではある。これはいつもミステリーだ。週に1度、土曜か日曜に投げた選手をその他の日は打者に転向させるのだから」という談話も載せている。

 二刀流への戸惑いも示したが、ヤンキースが田中将大投手獲得にポスティングで2000万ドル、契約で1億5500万ドルを投じた例を挙げ、それ以上の契約になるだろうとした。

 FA市場が進むなか、これほどまでにすぐに来ることはない大谷への期待は高まっているのである。

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白熱のワールドシリーズ 勝負の分かれ目は雨中断

 まったくなんというワールドシリーズだったのだろう。71年ぶりのシリーズ進出を果たしたカブスが1勝3敗と後のない状況から2連勝し、現地2日に行われた第7戦に持ち込む展開となった。

 最終決戦の第7戦も初回にカブスが1点を先制したものの3回にインディアンスが追いつき、さらにカブスが一時は6対3までリードを広げた。これで決着するかと思われたが、8回裏、満を持して投入したカブスの守護神アロルディス・チャプマン投手がまさかの連打を浴び、再び同点とされ、延長に突入してしまう。そして10回表、1死一、二塁で5番のベン・ゾブリストがこの日初ヒットとなる2塁打を放ち、2点を挙げこれが決勝点となった。インディアンスも10回裏に1点を返す粘りを見せたが追いつけず、カブスは108年ぶりの王座を手に入れたのである。

 このゲームの勝利で特に注目したいのが、延長に入る直前に起こった降雨による17分間の中断だ。カブスのクリス・ブライアント三塁手がフォックス・テレビに語ったところによれば、この時スタジアム内のウエート・ルームで選手だけのミーティングが行われたのだという。

 ブライアントは「我々にとって最も良かった。皆でウエート・ルームに集まったんだ。お互いに支えあった。(チャプマンは)少し動揺していた。ジェイソン・ヘイワードが先導して、気分を高めてくれて、やる気を出させたんだ」と話している。

 ヘイワード右翼手は話した内容について「自分はただ自分たちに自信を持て。勝ち負けを気にするな」と語っただけだと謙遜していたが、この演説が2度も追いつかれ嫌なムードになりがちなチームの雰囲気を変えたであろうことは確実だ。勝因となったといえるかもしれない。

 前回、2つの「呪い」を持つカブスと68年ぶりの優勝を狙うインディアンスという今回のシリーズのテレビ中継には放送、広告業界から大きな期待がかけられているということを紹介したが、その期待はかなえられたようだ。第1戦から高視聴率が続いたのである。

 特に注目されたのがカブスが3対2で71年ぶりに本拠地でのシリーズ勝利を手にした第5戦だった。調査会社ニールセンによれば、実に総視聴者数は2150万人に上ったという。これはほぼ同時刻に行われたプロフットボールNFLのサンデーナイト・フットボールの1720万人を上回るものだった。

 さらに第7戦は視聴率25・2%、総視聴者数は4000万人に達し、ここ25年間で最高を記録したということだ。

 本当にすごいワールドシリーズであったことが改めてわかる数字だといえよう。

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